理想と現実。

特別養護老人ホーム(特養)という施設をご存知でしょうか?

全国に一番多く整備されており、以前は老人ホームと言えば、この「特養」をイメージする方が多かったのではないでしょうか?

特養の最大の特徴は、何と言ってもその利用料金にあると思います。

国民年金だけの方でも入所できるような、所得に応じた料金体系となっているため、負担面についてはどなたでも安心できます。

ただ多少室(4人部屋)が基本となるため、プライバシーはあまり確保できませんし、ご家族などが泊まることもできません。

その特養に対する国の方針が、数年前に大きく転換されました。

質の高い介護が提供できる全室個室型「新型特養」の建設が推進されるようになったのです。

当時は、時代とともにいい傾向(当たり前?)に変わってきたなぁと感じたものです。

ところがその「新型特養」が、今大変厳しい現実にさらされています。

多くの施設が経営難に陥り、自治体の中には国の方針に反し、多少室がメインの従来型特養の建設を認めるところも出てきているようです。

なぜ経営難になるのかという仕組みまでは書き切れませんが、とにかくあまり好ましい状況ではありません。

これからますます超高齢社会を迎えようとしているときに、医療や福祉の質が逆行していくなんて考えられないですよね!

さらに来年度は介護保険制度の大幅改正の年です。

その動向に注目しておきましょう。。。

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「後期高齢者医療制度」

4月に入ってまだ1週間ですが、毎日この制度のことを耳にします。もう名称まで変わってしまいましたね。。。

後期高齢者医療制度の内容については、いずれ詳しくこのブログで解説しようと思いますが、皆さんが猛反対されている通り、いろいろと問題点は多いようです。

もちろん今後ますます進展する少子高齢化を乗り切るためには、無制限に社会保障費を増加させるわけにはいかないと言うことはわかります。しかし、今まで扶養に入ってた方まで保険料を支払わなければならないと言うのは、どう考えてもおかしいですよね。自分で支払えるのなら、別にもともと扶養になる必要などないのですから。

話しは変わりますが、障害者自立支援制度という障害者のための福祉制度がありますが、この制度は65歳以上になれば介護保険を申請して頂き、認定が受けられれば介護保険優先適用に切り替わります。

その認定区分によっては、それまでのサービスと同じ内容のサービスを受けられなくなる場合があります。つまり利用できる内容や回数が減ると言うことです。

現行の医療福祉制度は、年齢を重ねれば重ねるほど、使いづらい内容のような気がします。

今日の感じでは、解散総選挙は近いかもしれませんね。もっと優れた、先の先まで安心できる社会保障改革案が出てくることに期待しましょう。

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悲しい結末…

昨年の11月に、認知症の妻(80歳)を絞殺した男性(85歳)に判決が言い渡されました。

「懲役3年、執行猶予5年…」

その男性は病院で大腸がんの疑いを指摘されたようで、認知症の妻を一人残して自分だけ死ねないという思いがあったようです。

もちろんいかなる理由でも殺人など起こしてはなりません。しかし、私にはこの気持ちを非難できません…。

私は介護業界に長くいるので、ある程度認知症になったあとの生活を予測することができます。しかし全く知らない方にとっては、それはそれは先のことが不安だったと思います。

子供も事故で亡くされ、自分までいなくなったら…、ただただ妻のことが心配でならない。そこに「愛情」が見えるだけに、本当に悲しく切ない気持ちになります。苦しんで苦しんだ末の犯行だったのでしょう。

殺人は絶対に「罪」なことです。しかし老後に病気を患ったときに、先が不安で「死」を選ばなければならない社会自体が最も「罪」なのかもしれません。

これからは独居や夫婦だけで生活しているお年寄りがますます増えていきます。「先進国」と呼ぶにふさわしい福祉国家であって欲しいものです。。。

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公平or平等?

社会保障は【公平or平等】どちらであるべきか?皆さんはどう思われますか?

例えば医療であれば、お金持ちとそうでない人の間で受けれる医療内容に差があってはなりませんね。そういう意味では【平等】が基本になります。

ただ、支払う保険料や自己負担金については所得による差が設けられています。例えば75歳以上でも一定の所得があれば、現役時代と同じく3割負担となります。これは【公平】と言えるのではないでしょうか。

年金については、所得の多い人ほど多くの保険料を支払うため、将来もらえる年金額が多くなります。これは一見【公平】のようでもありますが、年金の算定基準は基本的に皆同じ規定になるため、ある意味【平等】とも言えますね。

まあ結局のところ、そう杓子定規には考えられないと言うことでしょうか。

さて何が言いたいかと申しますと、介護保険では家事の支援が必要な方がヘルパーサービスを利用できます。そのヘルパーの家事サービスに、家族と同居している方とお一人暮らしの方で多少の違いが見られます。

同居家族がいる場合は、原則家事サービスが受けられません(あくまで原則ですが)。つまり、全く同じ病状で、同じ地域に住んでおり、同じ保険料を支払ってきた二人でも、一方は一人暮らしなので家事サービスが受けられる。しかしもう一方は同居家族がいるので家事サービスが受けられないという事態が生じてしまいます。

これは果たして、【公平】なんでしょうか?【平等】なんでしょうか?

同居家族がいると言っても、家族関係は様々で協力的ではない人だっていますよね。なかなか深い問題で、考えれば考えるほどわからなくなります。もちろんこの件で、ご立腹されるお年寄りも多々おられます。

社会保障費のことを考えれば、ある意味しかたのないことなのかなあと思いつつも、その人の立場に立ってみると、怒る気持ちもわかるなあ、といろいろ悩んでいる今日この頃です。。。

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社会福祉の矛盾。

長年介護業界で働いていたので、国の介護・福祉に対する考え方に疑問を持つことが少なくありません。

その一つに駐禁問題があります。

先日新聞で訪問看護ステーションの駐禁問題についての記事を見ました。利用者の様態が急変し、車で駆けつけたら違反を取られたということです。

確かに現行の駐禁制度により、迷惑駐車はだいぶ減ったように思います。しかし、なんでもかんでも反則金を取ればいいと言うものでもありません。

もっと取るべきところは他にもありますよね。。。

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自分らしく生きること。

先日、二ノ坂先生のセミナーを拝聴して参りました。福岡市にあるクリニックの院長であり、数々の講演実績をお持ちのドクターです。

内容は、「治療の事前指定書」についてです。「事前指定書」とは、自分の意思を伝えられなくなってしまったときに、どういう治療をして欲しいか書面に残しておくものです。

似たものに、「尊厳死の宣言書(リビング・ウィル)」がありますが、「リビング・ウィル」は、延命治療の拒否などが記載された宣言書に署名・捺印するものなので、皆さん同じ内容となります。対して「事前指定書」は、【集中治療】【外科的治療】【限定治療】【緩和ケア】に関して、それぞれ希望を記入していくという手法をとっているので、個々人の思いをより反映できると言えます。

しかし、「リビング・ウィル」にしても、この「事前指定書」にしても賛否は分かれるところです。もちろん命を粗末にすることはあってはなりません。

しかし、この制度に関してはどうでしょう?私は賛成です。自分に意思がなくなったときでも、自分らしく生きる手助けとなり得るのではないでしょうか。

グリム童話に「寿命」という寓話があります・・・

昔々世界を創った神様は、次に動物たちに寿命を与えようとしました。30年の寿命をやろうと言われたロバは、重い荷を運び続けるには長すぎる時間だと、18年を削ってもらいました。イヌはそんなにいつまでも元気に走り回れないし、吠えることもできなくなり歯も抜けてしまうと、12年を減らしてもらいました。そしてサルもまた、人を笑わすためにイタズラをしたり、馬鹿なことをするには長すぎます、と10年ばかりを神様に返上したのです。

ところが人間は「自分の家を建て、田畑に実りをもたらし、カマドの火が燃え盛って、これから暮らしを楽しもうというときに何故死ななければならないのか」と嘆き、神様に、ロバの18年、イヌの12年、サルの10年をもらえないかと頼んで、70年の寿命を受け取ります。

だから人間は、初めの30年については人間の寿命を元気に生き、仕事にも精を出し、子供もつくるようになりました。ところがその後は、へこたれながら重い荷を背負うロバの18年、足腰が弱くなり歯も抜けたイヌの12年、そして最後に、間の抜けたことをするサルの10年を過ごすことになりました。。。

という話です。

何を感じるかは人それぞれでしょうが、大昔の人でも、神様から与えられた寿命の大切さと、むやみに寿命を延ばすことへの疑問を感じていたのではないでしょうか。

話がずれましたが、「事前指定書」には法的拘束力はありません。ですので「事前指定書」に従うかどうかは、現状ではそれを提示された医師の判断に委ねられることになります。しかし、もちろん課題も多く残ってはいますが、このような明確な意思が無視されるようなことが決して起こってはいけないように思います。何十年と頑張って生きてこられた方に、命を粗末にするなど当てはまらないのではないでしょうか。

なかなか難しい問題ですよね。しかし以前にも書きましたが、こういうことを考えることで、命の大切さを少しでも感じれるような気がします。

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意外な発見!

さて、昨日映画鑑賞会を開催したお話をしました。では何を上映したかといいますと。。。

「子ぎつねヘレン」です。子供向けかなと思いながらも、動物とのふれあいを描いた作品にしたかったのでそれを選びました。

ところが見てみると、なんといい映画!参加者の方もさることながら、我々4人のメンバーも号泣でした。最後の挨拶はみんな目が真っ赤で鼻声でしたよ。(笑)

内容は、目と耳が不自由な子ぎつねとその子の母親がわりになりたいと願う少年のお話です。獣医は、目と耳が不自由な世界で生きるくらいなら、死んでしまった方が幸せなのではと少年に問いかけます。どう思われますか?

私ならきっと、自分がそうなったらその辛さに負けてしまうと思います。ですが自分の大切な人がそうなったら・・・、それでも生きて欲しいと願うでしょうね。

何が正しいのか答えは出ないと思います。ですがそれを考えることで命の大切さを実感できるのではないでしょうか。

子供向けにしては、本当によくできた映画。あらためて自分の大切な人には元気でいて欲しいと思えました。お勧めですよ!

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小さな前進☆

地域で暮らすお年寄りが、いつまでも元気に過ごせるよう、国は体力低下防止に努め、地域活動へ参加することを推進しています。ただそんなことは苦手な方が多いのも実状です。

そこで今回私たちは、あまりイベントの行われていない地域の文化会館を利用して、コミュニケーションが比較的苦手な方でも参加しやすいような映画鑑賞会を企画しました。バリアフリーではない構造、トイレの数も限られているといった状況の中で、当初不安はあったものの、たくさんの方がご参加くださり喜んで頂きました。もちろん車いすの方もスタッフ全員の協力のもと、問題なく楽しんで頂けたようです。

2050年には3人に1人が高齢者、一番多い年齢層は80歳くらいと聞きます。みんなが病気がちで介護が必要なら財政はパンクするでしょうね。だからこそ国は介護予防を謳うのですが、かといって参加の場が画一的なものばかりだとしたら、きっと私も行かないでしょう。

私たちのチームは4人います。まずは地元から、たとえ小さなことでもやってみる。国の大きな方針も、私たち介護職種が動かなければ何も変わらないでしょう。その責務は重く、だからこそやりがいがあるのです。

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真の力☆

阪神大震災で全壊した、とある神戸市内のマンションに住む初老の方とお話をする機会がありました。

250戸に及ぶ分譲マンションが地震により倒壊し、避難と建て替えを余儀なくされた状況の中から、数人の住人の活躍のおかげで、今では立派なマンションに復興を遂げられています。しかし当時のその苦労は半端ではなかったようで、分譲マンションのため一つの物事を決める際にはもちろん全住人の採決が必要なのですが、方々へ避難されている住人の皆さんにその連絡をとるだけでも相当大変だったようです。

その方は、仕事を退職されたばかりで「自分には時間があったからできた。」とおっしゃられていましたが、それは違いますよね。いくら時間があっても、20代や30代の若者だけでその局面が乗り切れたでしょうか?

有事を乗り切るためには、知力・精神力・忍耐力・包容力・決断力・体力などが不可欠です。しかしその中で若者が勝っているのは体力ぐらいでしょうか?

平和ボケと呼ばれるようになって久しく、普段有事のことなど考えもしないのが当たり前ですが、激動の日本を生き抜いてきたお年寄りから、まだまだ受け継ぐべきことはたくさんあるように思います。

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今どきの若いもん。

先日、私が勤務している介護施設に中学生がやってきました。どうやらこの地区の中学生は、授業の一環で数日間地元の会社で社会人体験をするようで、私のいる施設にもやってきたわけです。

その中学生たちは、お年寄りに笑顔で話しかけ、愛想はいい、礼儀正しい、いうことなしの若者たちでした。

今どきの若い子にしては珍しく感じのいい・・・、

いやいや実はこういう子の方が多いのかもしれませんね。許されざる凶悪犯罪が毎日のようにメディアを賑わす今日この頃では、ついつい最近の若い子はおかしい子ばかりかと思いがちでしたが、当たり前のことですがそんなことないんですよね。

考えてみれば、「今どきの若いもん」なんて数多くの若者をひとくくりに表現することは失礼な話です。先入観は正しいものを見れなくする!忘れてました。反省反省。。。

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コンプライアンス

先日、組織的不正を行っていた某大手介護サービス事業所に、厚生労働省より厳しい処分が下されました。

その事業所には全国で約65,000人の利用者がいるようです。介護や支援を受けておられる利用者は日々接するヘルパーたちに絶大な信頼をおき、人事異動や退職などで人が変わるときには、深く悲しんだり落ち込んだりするものです。それだけ慣れ親しんだ人との別れは利用者にとって大きなショックになるというのに、不正により事業所が廃止され今後の契約先すらどうなるかわからないなんて、まさに愚の骨頂!業種は全く違えど、私自身はライブドア事件に似たような感覚を覚えています。

企業を経営する以上収益性が最も重要であることに疑いの余地はありませんが、介護事業に参入しようという会社には、社会的意義と責任、そしてプライドをもって経営にあたってもらいたいと思います。コンプライアンス(法令遵守)とCSR(企業の社会的責任)はその基本中の基本ではないでしょうか。

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