ブログ講座【後期高齢者医療制度⑤】

さて、次に後期高齢者医療の被保険者が窓口で支払う自己負担についてご説明致します。

今までの老人保健と同様に、かかった医療費の1割(現役並み所得者の方は3割)が自己負担額となります。

ただ、これには健康保険と同様に月ごとに上限が設けられています。

所得区分 外来限度額(月) 入院+外来世帯限度額(月)
① 現役並み所得者 44,400円 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
② 一般 12,000円 44,400円
③ 市町村民税非課税世帯に属する方  8,000円 24,600円
④ ③のうち、年金受給額80万円以下等の方 15,000円

つまり一般所得者の方であれば、入院費の上限が44,400円ということになり、それ以上の窓口負担はしなくてすむということです。

但し、これには注意すべき点があります。

それは、食費や保険外診療費、差額ベッド代などが含まれないということです。

それらを考慮すると、いくら医療費の上限が44,400円であっても、実際の支払額は、もう少し準備しておくことが必要です。

また、後期高齢者医療制度には新しく、「高額医療・高額介護費合算制度」が設けられました。

これは、同一世帯の被保険者において、医療保険の自己負担と介護保険の自己負担が発生している場合に、これらを合わせた額について、年間の合計額に上限を定め、負担を軽減する仕組みです。

所得区分 後期高齢者医療制度+介護

保険(年)

① 現役並み所得者 67万円
② 一般 56万円
③ 市町村民税非課税世帯に属する方 31万円
④ ③のうち、年金受給額80万円以下等の方 19万円

万が一、夫婦二人とも病気を患い介護が必要になったとしても、上記の上限額が夫婦二人での自己負担合計になるということです。

以上、5回にわたり後期高齢者医療制度について取り上げてきました。

いかがでしたでしょうか?

まだまだお伝えしたいことも多いのですが、あまり細かくなりすぎてもわかりにくくなるかと思います。

今回は、FPとして主にお金の負担に関する部分について解説させて頂きました。

給付内容などもっと詳しく知りたい方は、また個別にご相談ください。

それではまた次回より通常のブログに戻りたいと思います。

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ブログ講座【後期高齢者医療制度④】

総人口100人の【A村】があったとしましょう。

【A村】には75歳以上のお年寄りが20名いたとします。【A村】の村長は、今後2年間で75歳以上の方が利用するであろう医療費の予算をたてます。

【A村】のお年寄りは元気な方が多く、村の中に病院も少ないので、仮に年間1,200万円の医療費がかかると予算を組んだとします。

【A村】の村長は、その1,200万円の医療費のうち400万円を国に対して請求できます。そしてさらに100万円を【A村】が所在する【C県】に請求することができます。そしてさらに100万円は【A村】の税収をあてることができます。

これが、先日説明した<5割は公費>という意味です。

そして残り600万円のうち、480万円は75歳未満の方の加入する医療保険から頂くことになります。

残りはというと・・・、120万円ですね。

これを75歳以上の人口20人で割ると…、1人年間6万円。これが後期高齢者医療制度の保険料となるのです。

厳密にはもっと細かい規定があるのですが、だいたいこんな感じで保険料が決められているとだけイメージしてください。

【A村】と全く同じ、総人口100人、75歳以上の方が20人の【B市】があったとしましょう。

残念なことに【B市】のお年寄りは病気がちの方が多く、また町には病院の数も充実していて、医療費総額が年間2,000万円かかると予測できたとします。

これを先程の【A市】の例に当てはめると、1人あたりの保険料は年間10万円となります。

これがニュースでもよく取り上げられている、地域間での保険料の格差ですね。

ちなみに社会保険というのは全てにおいて、このような公費負担部分が設けられています。

もし公的年金を、公費負担のない民間の保険会社が全く同じ給付水準で実施しようと思うと、膨大な保険料が必要となります。

そういう意味では、やはり社会保険は必要不可欠な制度なのです。

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ブログ講座【後期高齢者医療制度③】

後期高齢者医療制度では、

【保険者】広域連合(但し、窓口業務や保険料徴収業務は各市町村が行う)

【被保険者】75歳以上の者、及び65歳~74歳までの者で一定の障害の状態にあることにつき広域連合の認定を受けた者

となります。

次に【保険料】についてですが、通常民間の生命保険などは全加入者の支払う保険料とその運用益が、保険給付額を下回らないように設定されています。

当たり前ですが、掛け金より保険会社の支払額の方が多いと倒産ということになりますよね。

しかし、社会保険の場合は少し異なります。

後期高齢者医療制度では、「患者負担を除く総医療費の1割が被保険者の保険料」となります。

「???」ですよね?

つまり全体の保険給付額が100億円だとすると、その1割にあたる10億円だけを被保険者の保険料で賄うということです。

では残りの9割はというと、5割は公費(税金)、4割は75歳未満の方の加入する医療保険から拠出されます(これを「後期高齢者支援金」と言う)。

次回は、この部分を少し詳しくご説明致します。

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ブログ講座【後期高齢者医療制度②】

そもそも【後期高齢者医療制度】が始まることがいつ決まったかと言いますと…、

平成18年6月21日に、国会で「医療制度改革法」が成立しました。

そのときの「医療制度改革大綱」から一部を抜粋致します。

【わが国は、国民皆保険のもと、誰もが安心して医療を受けることができる医療制度を実現し、世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきた。しかしながら、急速な少子高齢化、経済の低成長への移行、国民生活や意識の変化など、大きな環境変化に直面しており、国民皆保険を堅持し、医療制度を将来にわたり持続可能なものとしていくためには、その構造改革が急務である…】

そして、この中で構造改革の基本的な考え方とされているのが次の3つです。

①安心・信頼の医療の確保と予防の重視

②医療費適正化の総合的な推進

③超高齢社会を展望した新たな医療保険制度体系の実現

すでに②の【診療報酬の改定】などは行われつつありましたが、この4月よりいよいよ①の【特定健診・特定保健指導】、及び③の【後期高齢者医療制度】が開始されたわけです。

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ブログ講座【後期高齢者医療制度①】

気まぐれブログ講座を再開します。

今回はFPらしく、今話題の「後期高齢者医療制度」を取り上げてみます。

そもそもこの制度を説明する前に、皆さん<保険>の仕組みってご存知ですか?

日本は国民皆保険、国民皆年金なので、望む望まざるにかかわらず何らかの保険にはご加入されていると思います。

またそれ以外にも、民間の生命保険や医療保険、車の損害保険や火災保険などにご加入の方も多いでしょう。

そもそも<保険>とは、「偶然に発生する事故によって生じる経済的不安に備えて、多数の者が掛け金を出し合い、それを資金として事故に遭遇した者に一定金額を給付する制度」です。

年金・医療・介護・労災・雇用などの公的保険の他、民間企業が運営する生命保険・医療保険・年金保険・損害保険などがあります。

ここでは保険の仕組みについて簡単にご説明致します。

まず始めに、

【保険者】運営主体。保険事故発生に伴い保険金支払いの義務を負う者。

【契約者】契約の申し込みをする者。保険料支払いの義務を負う者。

【被保険者】保険の補償を受ける者。保険の対象となる者。契約者とは異なる場合がある。

【保険事故】保険者がその事実の発生を条件として、保険金の支払いを約束した偶然な事故。

という4つの用語を覚えてください。

国民健康保険の例をあげると、【保険者】は市町村、【被保険者】は加入している個人、【保険事故】とは病気やケガなどを患うことを表します。

我々が「保険証、保険証…」といつも言っているものは、正しくは「被保険者証」と言います。

そして、【保険事故】とは前述のとおり、「偶然な事故」である必要があるため、ケンカなどでケガをしても、原則的には公的医療保険は使えないことになります。

ただ「偶然な事故」でなくても保険が給付される場合もあります。

例えば雇用保険の失業給付については、会社の倒産や定年退職時などに支給されるのが原則ですが、自己都合による退職でも給付が行われます。そのかわり、偶然ではなく故意(自己都合)なので、ペナルティーとして3ヶ月間の待機期間が設けられているというわけです。

また【保険事故】とは、いわゆる一般的な<事故>ではなく、保険金支払いの要件になることを表します。つまり、老齢年金でいうと「65歳に達すること」、介護保険でいうと「要介護・要支援認定を受けること」が【保険事故】ということです。

要するに<保険>とは、運営主体である【保険者】と、掛金を支払う【契約者】、及びその保険給付の対象となる【被保険者】(契約者と被保険者は同一のことが多い)が存在し、【保険事故】が発生すれば、【保険者】から【被保険者】に対して【保険金】が支払われるという仕組みになっているのです。

このあたりのことをご理解頂いた上で、「後期高齢者医療制度」についてご説明したいと思います。

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ブログ講座【10】キャッシュフロー分析

収入・資産・支出が把握できれば、それをもとにキャッシュフロー表を作成します。

金額の入力には、物価・年金受取額などの変動率も考慮します。例えば、現在の必要生活費が年間300万円、物価が年1%ずつ上昇していくと仮定すると、10年後の生活費は年間331万円となります。少し複雑ですが、数十年先までのことを計画する上では必要となります。

キャッシュフロー表が作成できれば、その内容に問題点がないか分析します。最も重要なことは、生涯にわたり貯蓄残高がマイナスとならないかどうかです。

そしてこれらの分析をもとに、改善策を検討します。改善策としては、

 ①収入または資産を増やす(定年後も働く、資産運用を行うなど)

 ②支出を減らす(生活費を見直す、生命保険を見直す、住宅ローンを完済するなど)

などが考えられます。

このように、定年退職後から終身に至るまでの生活設計を、長期的・総合的に行うことで、自分らしく有意義なセカンドライフ・シニアライフを送ることが可能となります。もちろんプランが変化することも多いので、定期的な見直しも重要ですが。

他にも、健康・介護の問題や、相続の問題、終の棲家をどこにするかなど、考えておきたいことがまだまだたくさんあります。

これらをファイナンシャルプランナーとともに、一度ご検討されてはいかがでしょうか。

全10回にわたるブログ講座も今回が最後となります。長々とお読み頂きありがとうございました。次回よりまた徒然なるブログに戻りたいと思いますので、よろしくお願い致します。

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ブログ講座【9】支出の把握

以前にも書きましたが、定年退職後の生活費は現役時代と大きく変わります。

現役中配偶者を扶養している場合、健康保険料や年金保険料は被扶養者は必要ありませんでしたが、退職後は国民保険になることが多いため、二人とも保険料が必要となります。また被扶養者が60歳未満の場合、60歳になるまで国民年金保険料も必要となります。さらに年金にも税金がかかります。

お子様の教育費は必要なくなる代わりに、結婚や住宅の資金援助が必要となることもあるでしょう。

また住居に関する費用も様々なものが必要となります。リフォーム費用やメンテナンス費用、家を買い換える場合はその費用、老人ホームなどに入居する場合はその入居金など。電化製品の買い替え費用などもボーナスがなくなった状態では重くのしかかってきます。

もちろん娯楽費や旅行費用も考えておきたいところです。

このように老後の支出は、その生活スタイルによって全く異なります。どのような生活を送りたいかしっかり整理し、今後必要と見込まれる支出を把握しておきましょう。

日常生活費については、無駄な支出を減らすためにも、しばらくの間家計簿をつけてみることをお勧めします。

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ブログ講座【8】資産の把握

収入が把握できれば、次に資産を整理しましょう。

個人資産には様々な種類のものがありますが、大きく分けると預貯金・債権・株・投資信託などの「流動資産(=すぐにお金に換金できるもの)」、及び土地・建物・車などの「固定資産(=お金に換金するまでに時間のかかるもの)」に分かれます。

そして、もう一つ重要なものが「負債(=借金)」です。借金の把握は老後のマネープランに欠かせません。さらに借金は相続の対象にもなってしまうため、できるだけ早いうちに整理しておきたいものです。

まずはこれらの、「流動資産」「固定資産」「負債」にどのようなものがあるかを一覧表にしてみましょう。「固定資産」は時価(=今売るといくらになるか)を、「負債」には完済日や借入利率も記入してください。

会社では財政状況を把握する手法として、「バランスシート(貸借対照表)」が用いられますが、個人でもこの「バランスシート」を作成することをお勧めします。

「流動資産」「固定資産」などのプラスの財産から、マイナスの財産である「負債」を差し引いたものが、現時点での「純資産」になります。たとえば「預貯金」が3,000万円、「マイホーム」が時価1,500万円、「住宅ローン残債」が1,000万円だとすると、純資産は<3,000万円+1,500万円-1,000万円=3,500万円>となります。

しかし、純資産の3,500万円のうち1,500万円は「マイホーム」の金額であり、老後も住み続ける場合は自由になるお金ではありません。もし売る場合は、その後の居住費(家賃や老人ホーム入居費用など)が必要となりますので注意しましょう。

そして資産を考える上で最も重要なことが、「預貯金」で「住宅ローン残債」を返済することが妥当かどうかということです。例えば、借入金利5%で借りているようなケースであれば、返済するメリットは大きいかもしれません。しかし、2%程度の低金利のケースはどうでしょう?現在の「預貯金」を2%以上で運用できるようであれば、ローンを返済せずに、運用する方が有効的と言えます。老後のライフプランによって一概には言えませんが、あまり手元に現金が少なくなることはお勧めしません。必要資金を手元に残しながら、不利な「負債」を無理のない範囲で返済することが大切です。

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ブログ講座【7】収入の把握~その他~

公的年金・退職金以外の収入としては、企業年金や個人年金、生命保険の満期金などが考えられます。

いつからいくらもらえるかは、加入している種類によって全く異なりますので、しっかりチェックしておきましょう。

ここでは受給時の税金についてご説明致します。

企業年金については、年金形式で受け取るタイプと、一時金で受け取るタイプに分かれます。年金形式で受け取るタイプは雑所得(公的年金と同じ)として扱われ、公的年金等控除の対象となります。詳しくはブログ講座【4】をご覧ください。また一時金で受け取るタイプは退職所得として扱われます。こちらも詳しくはブログ講座【6】をご覧ください。

続いて個人年金についてですが、保険会社によって様々な種類がありますので、保険証券をよく調べておくことが重要です。

終身年金

被保険者が生存している間は年金が支払われる。

保証期間付

終身年金

保証期間中は被保険者の生死にかかわらず年金が支払われ、保証期間経過後は終身年金と同じ。

確定年金

定められた一定期間中、被保険者の生死にかかわらず年金が支払われる。

有期年金

定められた一定期間中、被保険者の生存している間は年金が支払われる。

保証期間付

有期年金

保証期間中は被保険者の生死にかかわらず年金が支払われ、保証期間経過後は有期年金と同じ

夫婦年金

夫婦いずれかが生存している間は年金が支払われる。

個人年金も雑所得として扱われますが、公的年金等控除の対象にはなりません。

①【年金額(1年間の合計)】

②【年金額(1年間の合計)×正味払込保険料総額/年金の総支給見込額】

【①-②】が雑所得として課税の対象になります。少しややこしいですが、要するに今まで支払った保険料が経費として差し引かれた上で課税されるということになります。

また夫が契約者で保険料を負担しており、妻が年金を受給するような場合は、年金受給権に対して贈与税が課せられます。注意しましょう。

最後に生命保険の満期金(養老保険など)ですが、この満期金は所得税の一時所得として扱われます。

①【満期時受取額-正味払込保険料】を他の一時所得と合算

【(①-50万円)×1/2】が一時所得として課税の対象になります。

また保険料負担者と満期金の受取人が異なる場合、所得税ではなく贈与税が課せられます。贈与税の実効税率は所得税より高くなっておりますので注意が必要です。

さて収入の把握は以上となります。これらの収入をしっかり把握した上で、次に資産を整理していきましょう。

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ブログ講座【6】収入の把握~退職金編~

老後の生活を支える上で、年金と並んで大切な収入源として退職金があります。

定年退職や任意退職・解雇・死亡など、企業と従業員の雇用関係が終了することで支払われる性質のもので、企業によって内容は異なります。最近では確定拠出年金を導入している企業も多くなってきました。

万が一支給された退職金が大きな金額だった場合、気になってくるのが税金の問題ですね。ところが退職金の税金は非常に優遇されており、さらには他の所得と区別して扱われるため、通常より税金が少なくてすむことがほとんどです。以下に退職所得の計算方法をご説明致します。

<退職所得の計算方法>

(【退職金】-【※退職所得控除額】)×1/2 = 【退職所得】←この金額を基準に課税される。

<※退職所得控除額の計算方法>

勤続年数20年以下・・・40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)

勤続年数20年以上・・・70万円×(勤続年数-20年)+800万円

つまり、例えば勤続年数38年で2,000万円の退職金を受け取った場合の税金は、70万円×(38-20)+800万円=2,060万円

2,000万円から退職所得控除額2,060万円を差し引くと、マイナス60万円となり税金はかからないことになります。

勤務先から受け取る退職金は、支払いを受ける際に源泉徴収されて課税関係は終了します。但し、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合は、一律20%の税金が差し引かれることになります。確定申告すれば、多く支払った税金は還付され、結局負担額としては変わらないのですが、余計な手続きが増えるだけですので、申告書は忘れず提出するようにしましょう。

また最近では、退職金を一時金ではなく年金形式で受け取る選択ができる場合もあります。その場合、年金額は雑所得として課税対象になりますので注意が必要です。

一見有利に見える退職金の税金ですが、現在退職所得控除額を引き下げる方向で検討されています。税制改正いかんによっては、早期退職金を受け取る方が有利になることも考えられます。今後の動向に注目しておきましょう。

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ブログ講座【5】収入の把握~年金編②~

年金は5年に1度見直しがあり、最近では平成16年に大きな改正が行われました。

改正項目は多岐に渡りますが、ここでは比較的生活に近い内容をご紹介致します。

<1>マクロ経済スライド制の導入

従来年金は物価スライド制と言いまして、物価の動きに合わせて支給額が見直されていました。しかし昨今の少子高齢化など社会背景の変化により保険料収入が減少しており、負担と給付のバランスをとっていくことが望ましいということになりました。そこで、物価スライドに加え、被保険者数の減少や平均寿命の伸びなどを反映させた改定率を用いるマクロ経済スライド制が導入されることとなったのです。この結果、おそらく年金支給額は引き下げられる方向へ動くと予想されます。「そんなこと聞いたことない!?」とお思いの方も多いかと思います。マクロ経済スライド制は、現在一定の物価上昇が見られるまで据え置かれており、本格的に制度が適用されるのは、これから先になると思われます。

<2>離婚時の年金分割

最近話題の大きい離婚時の年金分割。この制度が始まるまで離婚を我慢している方も多いと聞きます。しかし制度が始まってすぐ離婚されても、そこまでメリットが大きいわけではありません。年金分割は以下の2段階があります。

①平成19年4月以降に離婚した場合、婚姻期間中の配偶者の厚生年金を分割することができます。分割割合は、2分の1を上限に夫婦の協議により決めることになります。注意してほしいのは、無条件に分割が行われるわけではなく、合意(できない場合は裁判所の調停)が必要なこと、離婚成立後2年以内に合意が成立することなどがあげられます。

②平成20年4月以降に離婚した場合、それ以降に第3号被保険者期間(被扶養期間)があれば、社会保険事務所へ申請することにより、配偶者の厚生年金の2分の1を自動的に分割することができます。①と違う点は、合意や調停を必要としないところです。しかし注意点として、平成20年4月以降の第3号被保険者期間のみ適用となりそれ以前の期間については対象外であるところ、共稼ぎで二人とも厚生年金に加入している期間は対象外になるところなどがあげられます。

<3>在職老齢年金について

年金を受給しながら在職収入がある場合、年金の給付調整が行われます。60代前半、65歳以上70歳未満、70歳以降の3段階で計算方法が異なり、今まで60代前半の給付調整では、無条件に年金額の2割が支給停止されていました。しかし今回の改正により、両者合わせて28万円以下の場合、給付調整が行われず年金が全額支給されることになりました。しかし一方では、今まで給付調整のなかった70歳以降の在職老齢年金について、両者合わせて48万円を越える場合、給付調整が行われることとなりました。

<4>障害年金

今までは認められていなかった、65歳以降の障害基礎年金と老齢厚生年金の併給が可能となりました。

さて、この他多数の改正項目があり、これからもまだまだ改正が行われていくと思われます。全てを把握することは難しいとしても、主要なポイントは押さえておくようにしましょう。

最後に豆知識として、現在会社員の方で退職を控えておられる方は、退職前にぜひ健康診断などに行くようにしてください。万が一病気が見つかり、のちのち障害区分に該当するようなことになった場合、初診日が厚生年金被保険者期間中であれば、障害厚生年金の受給が可能となります。

次回は退職金についてお話します。

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ブログ講座【4】収入の把握~年金編①~

今回はリタイアメントプランニングの中でも最も重要と言える「年金収入」について解説致します。

とは言っても「公的年金制度」は非常に複雑で、ご自身の年齢・性別・雇用形態・扶養者の有無などにより、「いつからもらえるか」や「いくらもらえるか」が全く異なる仕組みになっており、ブログで説明するには限界があります。ですので、ここでは年金受給額の計算方法については割愛させて頂きます。詳しい内容を知りたい方は個別相談頂くか、50歳以上の方であれば、社会保険事務所で試算してもらうことが可能ですので、そちらにお申し込みください。

さて、そもそも公的年金制度の基礎ができたのは、第二次世界大戦時に遡ります。お金がなくなってきた政府は軍費を集めるために年金制度を発足させます。保険料を今徴収しても支払うのはずっと先でよいため、しばらくは保険金がプールされる時期が続くと考えたわけですね。このように制度発足当時から、社会保障とは違った思惑があったからか、年金制度は次々改正を重ね、つぎはぎだらけの、非常に複雑でわかりにくい仕組みとなってしまったのです。

話はずれましたが、次に年金の手取額についてお話したいと思います。おかしな話なのですが、自分が支払った保険料を受け取るだけの年金にも税金がかかります。

老齢年金は国民年金でも厚生年金でも、合計25年以上(25年未満であれば一切支給されず、支払った保険料が全て無駄になるので注意が必要です!)保険料を支払い続け、年齢用件など一定の条件を満たすと年金受給権が発生します。その後、個々人の条件によって個別に計算され支給額が決定されます。そこから、下記の「公的年金等控除額」が差し引かれ、他に収入がなければ「基礎控除」「人的控除」などを控除した残りの金額に所得税と住民税が賦課されるという仕組みになっています。

受給者年齢

公的年金等の収入金額(A)

公的年金等控除額

65歳未満

130万円未満

70万円

130万円以上410万円未満

A)×25%+37.5万円

410万円以上770万円未満

A)×15%+78.5万円

770万円以上

A)×5%+155.5万円

65歳以上

330万円未満

120万円

330万円以上410万円未満

A)×25%+37.5万円

410万円以上770万円未満

A)×15%+78.5万円

770万円以上

A)×5%+155.5万円

例えば70歳の一人暮らしの方で、年間150万円年金が支給されており、他に収入がない場合。

150万円―120万円(公的年金等控除)-38万円(基礎控除)=▲8万円 ⇒ つまり税金はかからないことになります。

ちょっとややこしいですね。要するに、もらった年金全てに税金がかかるのではなく、一定の控除が認められているということです。

また一定金額以上の年金を受給されている方は、源泉徴収が行われ、受給者には税引き後の年金が支給される仕組みになっております。気をつけなければならないのは、給与と違って年末調整がありません。万が一税金を多く引かれている場合は、確定申告が必要となりますので注意しましょう。

さていかがでしょうか?冒頭にも述べましたが、年金制度は非常に複雑で、他にも様々なポイントがあるのですが、ブログに書ききれる内容ではありません。ご自身のことで納得できないことがあれば、遠慮なく社会保険事務所などに相談するようにしましょう。

次回は「最近の年金改正点」を解説致します。

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ブログ講座【3】リタイアメントプランニングの流れ

ここでは、リタイアメントプランニングの流れを説明致します。

<1>収入の把握

最も重要で気になるところですね。これからもらえる年金はどのくらいなのか?退職金はいくらもらえるのか?生命保険の満期金があるか?・・・などなど。ここで重要なポイントは「税金」です。年金にしても、退職金にしても、満期金にしても、全て所得税と住民税の課税対象となります。自分の受け取る金額に税金がかかるかどうかを計算し、プランニングの際には、全て税引き後の手取額を基準に考えていきます。

<2>資産の把握

今所有している資産(財産)を整理します。預貯金・有価証券などの「流動資産」、不動産・車などの「固定資産」の他、住宅ローンなどの負債(借金)も把握しましょう。ここでのポイントは「時価」での把握です。特に不動産は、時価(今売ったらいくらになるか)を調べておきましょう。時々、時価より住宅ローン残債の方が大きい場合があります。そうなると家を売っても、住宅ローンが完済できない場合があります。資産(財産)の把握には、個人版バランスシートの作成が有効です。

<3>支出の把握

給料やボーナスがなくなり収入が減ってしまう中で、日々の生活費は大きな負担となっていきます。無駄な出費をしないためにも、一度(一定期間だけでもよいので)家計簿をつけてみられてはいかがでしょうか。前回も書きましたが、現役時代と老後では必要な費用が変わってきます。終の棲家をどうするかや、趣味や娯楽に使いたい費用など、しっかり把握しておきましょう。とにかく、これからやりたいこと、希望する生き方をじっくり考えることが大切です。

<4>キャッシュフロー表の作成

<1>~<3>まで把握できましたら、次にそれをキャッシュフロー表におとします。時系列に数字を入れていき、生涯にわたり貯蓄残高がマイナスにならないか、問題点が見当たらないか、などを検討します。

<5>プランの見直し

<4>で問題点が見つかれば改善プランを検討します。貯蓄残高がマイナスになってしまう場合、改善策としては2つしかありません。

  ①収入を増やす。または今ある資産を増やす(運用する)。

  ②支出を減らす。

この2点から、どのような方法が良いか具体策を考えていき、ご希望のライフプランが実現できるようお手伝いするのが、ファイナンシャルプランナーの役割です。

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ブログ講座【2】リタイアメントプランニングの基本

定年退職(リタイア)後の生活設計をリタイアメントプランニングといいます。

現役時代と決定的に違うところは、給料ではなく年金受給となり、収入が減ってしまう(人が多い)ということでしょうか。

生命保険文化センターの調査によると、「老後の最低生活費」は24.2万円/月、「ゆとりある老後の生活費」に至っては37.9万円/月というデータも発表されています。もちろんこの数字の妥当性が高いとは思いませんが、現役時代のように暮らしていては、年金だけでは足らずに貯蓄がどんどん減っていくのではと不安を抱える方も多いのではないかと思います。

もう一つ現役時代と違う部分として、支出の内容が変わってくることが挙げられます。

例えば、交際費や教育費、住宅ローンなどがなくなる反面、趣味のための費用や医療費、介護費などが増加する傾向が見られます。車や電化製品の買い替えも、給料やボーナスがない状態では重く圧し掛かってきます。また老後の住まいの選択についても重要で、大きなお金の伴う問題となってきます。

このように、老後にやりたいこと・必要と思われる支出を算出し、収入・資産とのバランスを考えたときに、生涯にわたり安心して暮らしていけるように計画するのが、リタイアメントプランニングの基本です。

次回は、そのプランニングの具体的な流れを説明致します。

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ブログ講座【1】老後の生活設計の必要性

昔は老後の生活設計について考える人など、決して多くはなかったと思います。国の社会保障と家族の支援によって、ほとんどの方はその寿命を全うされてきたことでしょう。

ところが昨今、そういうわけにもいかなくなってきました。誰もがご存知のとおり、日本は少子高齢化の急速により、国の社会保障制度に対する信頼が揺らいできています。このまま少子高齢化が進むと、2025年には4人に1人、2050年には3人に1人が高齢者になると同時に、現役世代である生産年齢人口が減少していきます。これは社会保障を多く必要とする世代の人口の増加と、その資金源となる保険料を支払う世代の人口の減少を表し、このままでは制度維持のために保障内容の見直しが行われる可能性が高いでしょう。さらに核家族化の進行・DINKS(※1)の増加などにより、ひとり暮らしや老夫婦のみの世帯が増加していき、ますます自分の身を自分で守らなければならない時代がやって来ると思われます。

不安材料として具体的には、マクロ経済スライドや後期高齢者医療制度(いずれ詳しく説明します)の導入が決まっており、また介護保険・障害者福祉の合併、消費税率UP、年金支給開始年齢の見直しなどがささやかれています。

定年退職後に自由になる時間は、約10万時間と言われています。平均寿命の伸びにより、その時間はもっと増えていくかも知れません。加えて多くの人が権利の主張・個性の尊重を重んじるようになり、「いつまでも自分らしく過ごす」ことを望むようになりました。そのような膨大な自由時間を、自分らしく有意義に過ごすためには、「お金を上手く使う」ことが不可欠です。

今まで仕事や家事を頑張ってきた見返りとして、自由で有意義な時間を過ごして頂くためにも、一度立ち止まって、ゆっくり自分のこれからの人生設計を考えてみられてはいかがでしょうか。

※1 DINKS:double income no kids(夫婦共働きで子供のいない世帯)

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さてさて。

ブログを始めて1ヶ月が過ぎました。徒然なるままに自分の思いを綴ってきましたが、これからはちょっと趣旨を変えまして、ブログ講座なるものを始めようと思っています。

私が運営する「楓ライフデザイン事務所」は、老後の生活設計を中心とするコンサルティングオフィスです。というわけで老後の暮らしに役立つ情報を、ブログ上から発信できたらと考えています。

月ごとにテーマを決めて随時更新していく予定ですので、またお立ち寄りください。

他にも今までのように、徒然なるブログもたまにはアップしますので、今後ともよろしくお願い致します。

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